Winston

グッドラックヘイワ竹原ピストルの対バンを渋谷のクアトロで見た。グッドラックヘイワとの出会いは星野源オールナイトニッポンだった。グッドラックヘイワのふたりは星野源の前身バンドSAKEROCKのメンバーだった。その縁がありLm(グッドラックヘイワの名盤です。チェックしてない人は今すぐに聞いてください)が発売された時に「風見鶏」という曲をラジオの電波をつたい聞いたのだが、その時の衝撃をいまでも覚えてる。その勢いでインターネットでLmを購入したのだが、時同じく星野源オールナイトニッポンを聞いていた母親も衝撃を受けて購入したらしく同じ日に同じCDが2枚届いて笑ってしまった。ピアノとドラムと口笛だけなのに、どこまでも世界が広がっていて目を閉じるとなんだか浮遊しているようなふわふわとした幸福感に満ち溢れてくる。ちょうど1年ぶりにライブのチケットをゲットすることができクアトロに向かった。

最初に竹原ピストルが出てきたのだが、あまりにも苦手でどうしたら良いかわからなくなった。2曲目に披露した「Live in和歌山」という曲が特に苦手でグッドラックヘイワのことなんてどうでも良いから一刻でもこの場から逃げたいと思ってしまった。和歌山にいる自称精神病の人間に薬漬けでも良いから生きろと励ます歌なのだが、精神病の人間がこの曲を聴いて生きよう!頑張ろう!と思えないだろなぁと感じた。やまない雨はないと言う人の上は晴天で明けない夜はないという人の上に太陽が照っているように彼もスポットライトを浴びて気持ちよさそうに歌い狂っていた。「死にたい」と思っているのに生きるために行うはずの食事をとることは大いなる矛盾なのでは?と思って味のついたものを食べると無条件で吐いてしまうことも、自分の顔が痩せこけていく過程を見るのが嫌で鏡が怖くなり歯を磨けなくなって虫歯になったりアイマスクしてお風呂に入ったこともないんだろうな。薬漬けになってる時点で生きてるのではなく薬に生かされているんだなと絶望したこともないんだろうな。誰かを救うために作った歌なんて下心が丸出しで吐き気がするなんて思わないんだろうな。だから、ギター一本でステージの上で歌うことができるんだろうなと自分の中でグルグル考えてるうちにライブが終わって助かった。

 対してグッドラックヘイワはどこまでも最高だった。グッドミュージックが終わったと思ったらナイスミュージックが始まり、それを最初から最後まで続けて行った感じです。俺が何を言ってるかわかるか?竹原ピストルを見て生きようなんて思えなかったけれどグッドラックヘイワの音楽を聞いてるとどこまでも生きてやろうと強く思えた。こんなに素晴らしい音楽がある世界にならもう少し居ても良いな。この人たちが作る音楽をもう少しでも聞いていたいな。と少し泣きそうになりながら音にノリ続けた。

 

‎グッドラックヘイワの「Lm」をApple Musicで

 

部屋にデカいぬいぐるみがある生活に憧れている。部屋に入った瞬間に可愛いぬいぐるみがいたらどんなに素晴らしいだろうか。筆舌に尽くせないほどにぬいぐるみのある生活が羨ましい。と、サークルの先輩に話したらじゃあ、一緒に買いに行こうと誘われたのでノコノコ一緒に行くことにした。私はタキシードサムを、先輩はぽちゃっこが欲しいとのことなのでサンリオショップに行くことに決めた。

 この先輩とは前に一緒に寿司を食べに行ったことがある。わたしは筋金入りの童貞で、異性にも同性にも何か(例えば映画に行こうとか喫茶店でコーヒーを飲もう)とか言われると、その裏の裏の裏の裏のことまで読み取って「コイツ、俺のことが好きなのか?」と錯覚できる特殊能力がある。ドキドキしながら寿司を食べに行った。それなりに話も弾んで寿司も美味しい。最後に茶碗蒸しをふたりで頼んだところ、いますぐ用意できるのがひとつしかないと言われた。後輩らしく譲ろうとしたら、「じゃあ一緒に食べようか」なんてはにかみながら言ってきて、その自然な優しさの裏から踏んできた場数の違いが垣間見えてなんだか悲しい気持ちになった。お会計は4000円くらいだったので2000円出そうと財布を取り出したら「後輩からお金は取れないよ」なんて言って奢ってもらった。ここで、私が食い下がってもなんかカッコつけてる感じが出そうでありがたくご馳走になった。そこで初めて“異性”ではなく“後輩”として呼ばれたことに気づいた。明確な線を引いて接してくれる人は安心できる。“別の世界では2人は姉弟だったのかもね”なんて口ずさみながら池袋の夜の街を歩いた。

 

そんな先輩と今回は有楽町で集合した。サンリオワールド銀座店にふたりで赴いた。歯医者の関係で30分くらい遅刻するなんて言われたけど、あだち充の大傑作 H2の中の大名言「待ってる時間もデートの内でしょ。デートの時間は、長い方が良いもん。」が頭をよぎり無駄にソワソワしてしまった。

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15:30、有楽町で落ち合いサンリオワールド銀座店に向かった。が、完全に店のチョイスを間違えた。Googleはここのサンリオワールドがデカいと教えてくれたが、銀座の街の特性上ぬいぐるみを買うような客は来ない。そのため、そもそものぬいぐるみの絶対量が少なくサンリオの中でもレギュラーにするほどでは無いけど主力とは言えない一時期の関本賢太郎のポジションにいるためタキシードサムのぬいぐるみは一体もなかった(もちろんぽちゃっこも)。何も買わないのは癪なのでタキシードサムの前髪クリップだけ買った。ちょっとだけ後悔してる。 その後、一緒にカレーを食べてマネケンのワッフルを食べて有楽町をちょろちょろ散歩した。先輩はやたらと有楽町の街の雰囲気や建物が好きだと言っていたがわたしの目にはただの街にしか見えず、伸ばさなくても触れることの出来る距離にいるのに先輩の生きる世界とわたしの生きる世界が全然違うようで、ふたりの距離がすごく遠く感じた。その遠さがどうにも居心地が良くて辛い。最後に煙草吸ったら帰ろうかなんて言い出して喫煙所を求めて彷徨う。煙草なんて吸わないくせに必死になって探しちゃうから「深い意味はないけど、イヌみたいだよね」なんて言われちゃうんだろうな。狭い喫煙所は貸し切りだった。煙草の銘柄はWinston。「フレシノが吸ってた煙草ですね。」「そうなんだ」「鎮座と一緒にやった曲のタイトルがWinstonなんですよ」「へー」

 

自分の着ている服がヤニ臭いと、ひとりではない気になって安心する。煙草を吸う友達に会いたくなってきた。