17歳
人生で1度しかない“高校二年生”が終わろうとしている。
17歳。青春。
ハッキリといって私の17歳は失敗だったと思う。私は幻の至宝と言われる「薔薇色のキャンパスライフ」を掴み取ることが出来なかった。
では、なぜ掴み取るが出来なかったのか。一部始終をここに記すことにする。
~4月~
私は死ぬほど緊張していた。何事もはじめが肝心だ。身だしなみはしっかりと整えた。1550円カットにも行った。2週間の間、ワイシャツを漂白剤に浸し真っ白にした。できることはした。
このあとに行われる最初の鬼門である「自己紹介」さえ越えれば「薔薇色のキャンパスライフ」にぐっと近づく気がしていた。
頭の中で自己紹介文を推敲していると一人の男がやってきた。それが彼とのファーストコンタクトでありワーストコンタクトだった。
男「元B組の○○くんだよね?」
私「そうです。」
男「こないだ欅坂の握手会いなかった?変なおじさんたちと話してたよね(笑)」
死んだ。
ここで僕の17歳。僕の青春。僕の高校二年生が終わったと思った。新クラスになり1秒でヲタバレ。出会って挿入するまでの時間よりも早く、私の生態がバレた。
しかも、変なおじさんって。。。あれはTwitterで知り合ったオタ......たしかに変なおじさんかもしれない。。。
だが、私は数多くの修羅場をくぐり抜けてきた。
ブースに入り推しメンの顔を見た瞬間に頭の中で何千回、何万回とシュミレーションをした言葉を忘れ、真っ白の状態になりながらも、なんとかコミュニケーションを取ったこともある。死ぬほど苦手なオタクとの馴れ合いを何回もこなした。
私は咄嗟にこう返した。
私「人違いだと思います...」
男「え?......あ、ごめん.........」
私「...ッス」
完 全 勝 利
私は「薔薇色のキャンパスライフ」を守り抜くことがとりあえずは出来た。
「オタク」とかいう気持ちの悪く常に異臭を放っている社会不適合者アスペルガー集団と一緒にされちゃこまる。
一息ついたと思いきや、一難去ってまた一難。次は自己紹介だ。
噛まないように。つっかえないように。慎重に名前と部活と趣味を言った。
ここで大きなミスをしてしまった。私は趣味は“読書”と答えてしまった。
答えたからには本を読まねばならない。休み時間、ずっと本を読んだ。ここから自意識の問題だ。死ぬほど本を読んだ。周りの人達がコミュニケーションを取り親睦を深める中、私は黙々と本を読んだ。
そうして青春を殺した。
(オチなし)